私が長年関わっている国際NGO「シャプラニール=市民による海外協力の会」の大先輩である中田豊一著「「なぜ」と聞かない質問術」を読んだ。
シャプラニールの活動は、1972年、独立間もないバングラデシュの荒廃した農村から始まった。そして長い間、何人もの日本人が貧困対策に取り組み、多くの失敗をした。その教訓として「当事者主義」、つまり日本人がどれだけ働きかけても(何を与えても)、貧困に苦しむ当事者が変わらない限り、何も解決しないことを学んだ。
同書のエッセンスは、当事者に適切な質問を行うことで、当事者自身に事実関係を振り返ってもらい、主体的な問題解決に導くことである。
単に「なぜ失敗した?」という質問は、当事者の言い訳(思い込み)や質問者への忖度(力関係)を誘発し、問題解決に繋がらないことが多い。重要なのは、「いつ、何をした?」というような事実確認の質問で、当事者自身に失敗に繋がった事実を時系列で思い出させ、解決策を考えてもらうことである。
面白いのは、途上国の課題解決の現場で培われた質問術が、ビジネス書を得意とするダイヤモンド社から出版され、ビジネス雑誌「プレジデント」で取り上げられたことだ。課題解決の基本は途上国でも日本のビジネスでも本質的には変わらないのだろう。