日本では地球温暖化対策に反対する政治勢力は限られ、富山県地球温暖化防止活動推進員である私も、安心して小学生相手に温暖化の話が出来る。
一方、米国では、現職大統領が「気候変動」をリベラル派の「でっち上げ」と呼び、「石油を掘りまくれ!」と号令をかけている。しかし、表向きは「気候変動」という表現は避けつつ、水面下では着実に脱化石燃料が進んでいると言われている。
「A Climate Change Rebrand」というNew York Times記事(2026年10月2日)が、この状況を上手く説明している。
最近、ニュースで「エネルギー安全保障」という言葉をよく耳にする。特に、海外から輸入される化石燃料に依存する日本は、ホルムズ海峡封鎖の影響を大きく受け、安定したエネルギー調達の重要性が叫ばれている。
シェール革命により世界最大の産油国のとなった米国でも、世界的な化石燃料の供給不安・価格上昇の影響からは逃れられず、ガソリン・電気料金の上昇に国民の不満が高まっている。ロシアからの安価な天然ガスに依存できなくなった欧州でも、安定したエネルギー確保が政治課題となっている。
このような状況を受けて、再生可能エネルギーへの移行が、「気候変動」の枠組みから、「エネルギー安全保障」「生活防衛」という枠組みで語られるようになった。再生可能エネルギーは、化石燃料への依存を下げるだけでなく、化石燃料の価格高騰により経済合理性も増している。
「エネルギー安全保障」「生活防衛」と言われしまうと、気候変動懐疑派も再生エネルギーへの移行に反対できなくなる。意見が分かれる政策分野において、言い方(表現)を変えることで展望が開けた良い事例である。政治的分断が深刻化するなか、対話を進める参考となる。